日常の移動において最も関心を集めるのが、「エスカレーターと階段どっちが早いのか」というタイムパフォーマンスの疑問です。多くの人が「動く機械に乗った方が早く上に着く」と考えがちですが、混雑時の駅構内ではまったく異なる結果が導き出されます。
一般的な駅に設置されているエスカレーターの運行速度は、日本産業規格(JIS)に基づき分速30メートル(時速約1.8km)程度に設定されています。高低差5メートル(一般的なビルの1階分から2階分に相当する約30段)を移動する場合、エスカレーターに乗って立ち止まっている時間は約20秒です。一方、階段を通常の成人の歩行速度(1秒に1段ペース)で登った場合、所要時間は約30秒となります。この純粋な移動時間だけを比較すれば、エスカレーターの方が約10秒早い計算です。
しかし、通勤時間帯の駅エスカレーター階段混雑を考慮すると、結果は完全に逆転します。交通工学の実測調査やメディアの検証実験によると、ホーム階からコンコースへ向かうエスカレーターの列に並んでからステップに乗るまでの平均待機時間は25秒から45秒に達します。つまり、乗車時間と合算すると合計移動時間は45〜65秒を要することになります。待機時間ゼロでそのまま登れる階段を利用した場合、30秒で通過できるため、結果として階段の方が15〜35秒早く到着するという逆転現象が生じるのです。このエスカレーター階段移動時間比較のデータは、乗り換えの電車が迫っている緊迫した場面において決定的な差となります。