一松の最大の魅力といえば、耳元で呟くような独特の低音ボイスです。普段の明るいトークや高音域の演技を知るファンにとって、第1話放送時の衝撃は計り知れないものがありました。
過去のアニメ雑誌や公式イベントのキャスト座談会において、福山自身はこの低音ボイスの役作りについて貴重なエピソードを語っています。当初、福山は「テンションを極限まで落としつつ、マイクにしっかり音を乗せる発声」のバランスに苦心したと明かしています。息を吐きすぎると単なる囁き声になってしまい、ギャグアニメとしての言葉の輪郭が失われてしまいます。そこで、喉の奥の響きを巧みにコントロールし、脱力感と不気味さ、そしてコミカルさを共存させる発声法を編み出しました。
福山潤の一松における演技力の真骨頂は、その「落差の激しさ」にあります。普段は覇気のないボソボソ声でありながら、ひとたび感情が爆発すると鋭いツッコミや狂気じみた絶叫へと跳ね上がります。また、猫と戯れるシーンで見せる柔らかい甘声や、兄弟に素直になれない場面での細やかな息遣いなど、1つのキャラクターの中で多彩な声色を使い分ける技術は圧巻です。
その表現力はキャラクターソングでも遺憾なく発揮されています。一松のキャラソン(エンディングテーマ『SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~』の一松バージョンなど)では、他の兄弟がテンポよくアピールする中、一松だけがだるそうにラップや台詞を刻み、独自のグルーヴ感を生み出しています。音楽的にも非常に高度なリズムキープと脱力歌唱を両立させており、声優としての底知れぬ実力を証明しています。