なぜリスクを冒してまで左側から抜こうとする車両が現れるのか。その温床となっているのが、高速道路の追越車線における「キープレフトの原則」形骸化です。
高速道路パトロール隊の現場証言や交通管制データによると、休日や大型連休時の自然渋滞の原因上位には、法定速度以下のまま追越車線を走行し続ける「居座り車両」の存在が挙げられます。道路交通法第20条第3項が定める追越車線は、文字通り「前車を追い越すための通行帯」であり、追越しが完了した後は速やかに左側の車両通行帯に戻らなければなりません。
SNSやドライバーコミュニティでは、「右車線が詰まって左車線がガラ空き」「やむを得ず左の走行車線を定速で走っていたら結果的に抜いてしまった」という悲鳴が日常的に投稿されています。法理解としては、追越車線の車が遅いからといって、走行車線を走る車がそれに合わせて減速する義務はありません。走行車線の制限速度を守り、車線変更せずに直進通過する「追い抜き」であれば合法です。しかし、追い抜かれた側のドライバーが死角となる左後方に気付かず急な車線変更を行い、重大なクラッシュ事故に発展する事案が多発しています。
もう一つのグレーゾーンが、二輪車(オートバイ・原付)による「すり抜け運転」です。渋滞や信号待ちで停止している車両列の側方をすり抜けて先頭に出る行為は、直ちに違法とは言えません。しかし、走行中の車両の間を縫うように進路変更を繰り返して前へ出る行為は、通行区分違反やすり抜け時の割り込み違反に直結します。2026年最新交通ルールのもとでは、車載ドラレコ映像の解析精度向上やAI監視カメラの導入が進み、かつて黙認されがちだった二輪車の無理なすり抜けも厳正に検挙される時代へ突入しています。