カズのニュースが流れる際、ネットの掲示板やSNSでは時に手厳しい意見も見受けられます。「スポンサー集めのための客寄せパンダではないか」「若手の出場枠を奪っているのではないか」という指摘です。しかし、クラブの現場取材を進めると、そうした短絡的な見立てとは全く異なる現実が浮かび上がってきます。
福島ユナイテッドFCの首脳陣やチームメイトが口を揃えるのは、「日常の練習における基準の引き上げ効果」です。59歳の大ベテランが、誰よりも早くクラブハウスに現れ、誰よりも真剣にウォーミングアップを行い、練習後の片付けや若手への声かけを率先して行う。その姿勢を目の当たりにした20歳前後の若手選手たちが、手を抜くことなど到底許されません。
また、現代のJリーグは過密日程であり、交代枠も5名まで認められています。終盤の勝負どころでピッチに入り、前線からの守備ブロックの形成、巧みなポジショニングでの時間稼ぎ、そして相手ディフェンスへの心理的プレッシャーなど、戦術的に課された役割を冷静に遂行できる計算が成り立っているからこそのベンチ入りです。単なるマスコット的存在であれば、シビアな昇格争いが繰り広げられるプロのピッチに立ち続けることは不可能です。