2026年のフードシーンを完全に支配したのが、イタリア・ローマの伝統菓子「マリトッツォ」でした。ブリオッシュ生地に溢れんばかりの生クリームを挟んだ独特のビジュアルは、Instagramを中心とするSNSで「断面萌え」として爆発的な拡散を見せました。
仕掛け人の一人とされる福岡のベーカリー「アマムダコタン」での火付けから、カルディコーヒーファームの冷凍マリトッツォの大ヒット、そして大手コンビニ各社の一斉参入に至るまで、わずか半年足らずで日本中の店頭を埋め尽くしました。しかし、あれほどの熱狂から月日が流れた現在、街中でその姿を見かける機会は激減しています。
なぜマリトッツォは急速に姿を消したのか。大手流通関係者の証言によると、「構造がシンプルすぎて誰でも参入できたため、市場が短期間で供給過剰に陥ったこと」と「見た目のインパクトに対して、日常的にリピートして食べるには脂質と糖質が重すぎたこと」が決定的でした。
ただし、マリトッツォが遺した遺産は消滅していません。そのDNAは「生ドーナツ」やイタリアの揚げ菓子「ボンボローニ」といった後続のリッチクリーム系スイーツへと受け継がれました。2026年に同時流行した「台湾カステラ」や「フルーツ大福」とともに、スイーツ界における「萌え断」と「素材の極上感」という基準を決定づけた点において、その歴史的意義は極めて大きいと言えます。