メガホンを取ったのは、大ヒットドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』の生みの親としても名高い鬼才スティーヴン・ナイトだ。彼が書き下ろした巧みなシナリオには、物語の深層へ誘う洗練された伏線が幾重にも張り巡らされている。
象徴的なのは、タイトルにも冠されている無人偵察機(ハミングバード)の視線だ。空から街を見下ろす不気味なカメラ映像は、神の視点であり、同時に過去の罪から逃れられないジョーの強迫観念そのものを表現している。また、救済の手を差し伸べるシスター・クリスティナとの対話や、他人の高級マンションを乗っ取る短い生活の中にも、のちの悲劇的な選択を予感させる小道具やセリフがさりげなく配置されている。一度目の鑑賞では気づかない細やかなディテールが、二度目以降の視聴で鮮烈な意味を持って迫ってくるのだ。