ワイスピの歴史において悼むべき重要人物は、キャストだけにとどまらない。シリーズ第2作『ワイルド・スピードX2』を手掛けた名匠ジョン・シングルトン監督の悲報も、映画界に大きなショックを与えた。2019年4月、脳卒中の併発により51歳の若さで他界。彼はストリートカルチャーとストリートレースの熱量をスクリーンへ注入し、シリーズのストリート要素を一段上のレベルへ引き上げた功労者だ。
黒人監督として史上最年少でアカデミー監督賞にノミネートされた経歴を持つシングルトンは、ハリウッド映画産業において人種やジャンルの壁を壊し続けたパイオニアでもあった。彼が吹き込んだストリートの美学と情熱は、シリーズがスケールアップした現在もなお、その根底に脈々と息づいている。