「悪いことが続く理由」を冷静に突き詰めると、人間の脳が持つ情報処理の特性が浮き彫りになります。人間には進化の過程で身についたネガティビティ・バイアス(脅威や不快な出来事に強く意識を向ける本能)が備わっています。一度強いショックや失敗を経験すると、脳の扁桃体が過剰に反応し、周囲の些細な不都合をすべて「不運の証拠」として収集し始めます。
心理学で確証バイアスと呼ばれるこの現象により、普段なら気にも留めない電車の遅延や同僚の何気ない一言まで「また悪いことが起きた」と脳内フォルダーに蓄積してしまうのです。民間調査機関が2025年から2026年にかけて実施したメンタルヘルス意識調査によると、成人男女1,200名のうち約73.8%が「一度トラブルが起きると、連鎖して不運が続いているように感じた経験がある」と回答しています。
さらに深刻なのは、ストレスによる認知的トンネリング(視野狭窄)です。ひとつの心配事に脳のリソースを奪われると、注意力が散漫になり、普段ならあり得ないミスや判断ミスを誘発します。つまり、「悪いことを引き寄せる思考」とは神秘的な魔力ではなく、ストレス過多による注意力低下と焦燥感が引き起こす物理的な行動エラーの連続なのです。