受傷直後から骨癒合が進む初期段階において、知らず知らずのうちに行いがちな動作が、骨のさらなる圧壊(楔状変形)や神経障害を誘発します。日々の暮らしに潜む絶対禁忌動作を具体的に検証します。
最も危険視されるのが、体幹を前方に折り曲げる「前屈姿勢」です。床のゴミを拾う、靴下を履く、前かがみで洗面台を使う、あるいは草むしりをする行為は、骨折部に直接押し潰しの力をかける自殺行為に等しい負荷を生みます。物を拾う際は腰を曲げるのではなく、「膝と股関節を曲げて垂直に腰を落とす」動作を体に叩き込まなければなりません。
次に致命的な誤りが、布団やベッドから正面に向かって「腹筋を使って起き上がる」動作です。仰向けから頭を持ち上げて起き上がろうとすると、腹直筋の強い収縮によって胸椎前方に猛烈な屈曲モーメントが働きます。起き上がる際は必ず、「膝を立て、体幹と骨盤を同時に横に向けて側臥位(横向き)になり、腕の力を使って上半身を押し上げる」という、いわゆる丸太転がし(ログロール法)の手順を厳守しなければなりません。
さらに、重い荷物を抱える行為や、椅子に座った状態で体を後ろにひねる「回旋」も絶対禁忌です。回旋運動は胸腰椎移行部に強力な剪断力(ズレる力)を発生させ、骨折した骨片を後方の脊柱管へと押し出す引き金になります。クッション性の高すぎる柔らかいソファへの着席も、骨盤が後傾して自然と前屈姿勢を強制されるため厳禁とされています。