歩行周期の筋活動を完全図解!臨床と国試で迷いを断つ評価の鉄則

歩行周期の筋活動を完全図解!臨床と国試で迷いを断つ評価の鉄則

歩行周期の筋活動を完全図解!臨床と国試で迷いを断つ評価の鉄則の総合ガイドをお届けします。専門的な知識がチェックできます。

臨床現場や歩行分析のテストにおいて、最も頻発する誤謬が異常歩行と筋力低下の原因に関する短絡的な結びつけです。多くの初学者は「異常な動きが見られた=その動きをしている筋肉が弱っている」と直感的に考えてしまいがちですが、歩行力学においてその推論は往々にして破綻します。

代表的な誤解の筆頭が「トレンデレンブルグ歩行」と「デュシェンヌ歩行」の混同です。単脚支持期に遊脚側の骨盤が下がってしまうトレンデレンブルグ徴候は、支持側の中殿筋筋力低下によって骨盤を水平に保持できない「筋力低下の結果」です。しかし、患者が自ら体幹を支持側へ大きく傾けるデュシェンヌ歩行は、筋力低下そのものではなく、重心線を股関節の回転中心に近づけることで中殿筋に必要な筋張力を減らそうとする「能動的な代償戦略」です。この2つを同じ「歩行の乱れ」として片付けてしまうと、リハビリの介入方針を根本から見誤ることになります。

また、臨床で極めて多い反張膝(Back knee / Genu recurvatum)の解釈も、教科書的な思い込みが危険な領域です。「反張膝=大腿四頭筋の筋力低下」と丸暗記しているセラピストが少なくありませんが、実際の臨床現場では全く逆の病態が多発しています。下腿三頭筋の痙縮や拘縮によって足関節の背屈が制限されている場合、重心を前に進めるために下腿を前傾させることができず、結果として大腿骨だけが後方へ押し込まれて膝が過伸展(反張膝)するケースが頻繁に観察されます。目に見える異常運動は、障害部位から離れた関節の制限に対する力学的代償であるケースが極めて多く、「現象」と「本質的原因」を冷徹に切り分ける眼が求められます。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。