医学的に「死に至る場合がある」と言われる際、体内ではどのような変化が起きているのでしょうか。肺非結核性抗酸菌症の死因を分析すると、菌そのものが全身に毒素を撒き散らして突然死を招くわけではありません。主因となるのは、長年の炎症によって肺組織が徐々に破壊された結果生じる慢性呼吸不全、抵抗力が低下した肺に別の病原体が侵入する二次性細菌性肺炎、真菌(アスペルギルス)感染の合併、そして血管破綻に伴う大量喀血です。
進行を抑えられずに迎える非結核性抗酸菌症の末期症状では、安静時にも続く著しい呼吸困難、持続的な酸素吸入(在宅酸素療法:HOT)の導入、そして全身の筋肉や脂肪が極度に削げ落ちる悪液質(カヘキシア)が顕著になります。肺胞の毛細血管が破壊されるため、体内への酸素供給が追いつかなくなり、日常生活動作が大きく制限される状態へと移行していきます。
取り返しのつかない段階に至る前には、必ず明確な非結核性抗酸菌症の悪化のサインが身体に現れます。決して見過ごしてはならない兆候は以下の4点です。
- 体重の継続的な減少(BMI 18.5未満への急落):本症において栄養状態の悪化は、CT画像の陰影以上に生命予後を悪化させる最大の警告灯です。
- 血痰の頻度増加と「肺非結核性抗酸菌症の喀血」:拡張した気管支動脈に負荷がかかり、一度に大量の血液を吐く喀血は窒息リスクを伴う救急徴候となります。
- 階段昇降時の息切れの増悪:従来こなせていた日常動作で呼吸が苦しくなるのは、肺実質破壊が進行している物理的証拠です。
- 平熱の上昇と夜間の微熱・寝汗:菌の活動性が高まり、慢性的な全身性炎症が加速していることを示唆します。