初訪の客が王道のカルビやロースに舌鼓を打つ一方で、手練れの常連客たちは独自のルーティンで厨房に合図を送る。焼きの順番ひとつ取っても、塩焼きで脂の軽やかな部位を堪能した直後、タレ肉に移る前に「特製ネギダレの別添え」をコールし、自家製キムチと絡めて舌をリフレッシュさせるのが通の流儀だ。
さらに、仕入れ状況が完璧に整った日にしか提供されない希少部位の裏メニューや、締めとして密かに愛されている特製スープのカスタムアレンジなど、メニュー表の行間には無数のドラマが隠されている。職人と客との信頼関係があってこそ成立するこの阿吽の呼吸こそ、大人の焼肉の醍醐味と言える。