骨付きの高級部位であるラムチョップの焼き方をフライパンで成功させるには、「側面から焼き始める」という立体的なアプローチが欠かせません。骨の周囲と外縁部に厚い皮下脂肪がついているため、まずはトングを使って肉を垂直に立て、外側の脂身部分を弱中火で2分ほど押し当てて焼きます。こうすることで余分な脂が溶け落ちてカリッとした食感に仕上がり、フライパンの中に質の高いラム脂が広がり、自らの脂で赤身をコーティングする準備が整います。
続いて肉を倒し、強中火で表面を約1分半、裏返して約1分間焼き色をつけます。ここで絶対に避けたいのが、フライパンの上で何度も肉を触ったり裏返したりする行為です。肉の表面温度が下がると綺麗な焼き色がつかず、旨味を閉じ込める膜が形成されません。両面にしっかりとした焼き色がついたら火を止め、ラム肉の焼き加減をミディアムレアにするため、バットに取り出してアルミホイルをふんわりと被せ、焼いた時間と同等の3〜5分間休ませます。余熱で熱が中心へと浸透し、中心温度が理想的な58℃前後に到達します。
一方、脂のサシと赤身のバランスに優れたラム肩ロースの美味しい焼き方では、サイコロ状や厚切りステーキカットに適した火入れが求められます。肩ロースは筋繊維が複雑に入り組んでいるため、強火で一気に焼くと硬直が目立ちます。油を薄く引いたフライパンに肉を並べ、中火で片面を2分、裏面を1分半焼き、最後にバター1かけと潰したニンニクを加えてスプーンで肉の表面に脂を回しかけるアロゼ(arrosé)を施すと、パサつきが完全に消え去り極上の柔らかさに到達します。