結論から明かすと、歯科医師の具体的な指示と指導監督のもとで行われる「浸潤麻酔(一般的な注射麻酔)」は完全に合法です。
歯科衛生士法第2条において、歯科衛生士の主業務の一つに「歯科診療の補助」が定められています。歯科医師法第17条が規定する「医行為(医師・歯科医師のみが行える行為)」との兼ね合いが議論されてきた歴史はありますが、厚生労働省の行政解釈において、歯科医師が患者の全身状態を診察・診断し、指示を出した上で行う局所麻酔の注射は「歯科診療の補助」の範疇に含まれると整理されています。
ただし、ここには明確な前提条件が存在します。歯科衛生士が自己の単独判断で麻酔の要否を決定したり、院内に歯科医師が不在の状況で勝手に注射を打ったりする行為は明確な違法行為となります。あくまで「診断と判断は歯科医師が行い、その指示に基づいて衛生士が手技を担当する」というプロセスが厳格に守られているからこそ、合法性が担保されています。