現代のアニメや漫画において、キャラクターは往々にして分かりやすく記号化されがちだ。しかし、黄猿にはそのルールが通用しない。彼の行動原理には常にグレーゾーンが存在し、敵なのか味方なのか、冷酷なのか情に厚いのか、最後まで観る者を惑わせ続ける。
これこそが、田中邦衛さんがスクリーンに残した「役者魂」の継承と言えるだろう。どんなに小さな役であっても、その人物が生きてきた背景や生活の匂いを感じさせる演技。尾田栄一郎が黄猿を描くとき、そのペン先には間違いなく、田中さんが体現し続けた「割り切れない人間の愛おしさ」が宿っている。