ネット上のQ&AサイトやSNSで頻繁に見られるのが、「+から始まる不審な電話に出てしまったが、それだけで高額な通話料金を請求されるのか?」という不安の声です。
結論から言えば、日本の携帯電話で国内にいる限り、着信に応答した(電話に出た)だけで着信側に国際通話料金が発生することはありません。通話料を負担するのは発信者側であるため、誤って通話ボタンを押してしまっても、金銭的な即時被害は発生しないのが通信規格上の事実です。
ただし、そこには別の重大なリスクが潜んでいます。電話に出てしまうと、詐欺グループ側のシステムに「この電話番号は実在し、見知らぬ着信にも応答するアクティブな標的(生きた番号)」として記録されてしまいます。その結果、ダークウェブ上の名簿リストに登録され、以降さらに大量の迷惑電話やフィッシングSMSが送りつけられる引き金となります。
そして最大のリスクは折り返し電話の危険性です。折り返した瞬間に発信者となるため、通話がつながっている間、秒単位で莫大な国際通信料金が加算されます。仮に相手が出ず「呼び出し音」が鳴り続けているように聞こえても、実際には現地の疑似呼び出し音(偽のリングバックトーン)を再生させて通話状態を維持し、時間を稼いで課金させる悪質なトラップも確認されています。
【プロの結論】心理的トラップを見抜く防犯リテラシー
詐欺グループは、人間の「返報性の原理(不在着信があればかけ直さなければならないという礼儀正しさ)」や、「緊急性の認知バイアス(未納料金や警察という言葉による強い不安)」を巧妙に突いてきます。
見知らぬ番号からの着信に対して「失礼があったら困るから念のため確認しよう」と反応することは、現代の通信環境においては極めてハイリスクな行動です。「登録していない国際番号には一切反応しない」「公的機関が国際電話を使って重要告知を行うことは100%あり得ない」という明確な境界線(バウンダリー)を引くことが、最も確実な自己防衛となります。