「二寧坂」と「二年坂」、どちらの表記が正しいのかという疑問を持つ方は少なくありません。結論から言えば、どちらも同じ坂を指す正式な呼称であり、意味や場所に違いはありません。道路標識や観光マップ、歴史的文献によって漢字の使い分けがなされていますが、指し示すエリアは高台寺南門通から産寧坂(三年坂)へと続く約150メートルの石畳と石段の空間です。
この坂の命名には主に2つの有力な由来が存在します。1つは、大同2年(807年)にこの坂道が整備されたことから「二年坂」と呼ばれるようになったという歴史的年号説。もう1つは、清水寺の子安塔へ安産祈願に向かう参道である「産寧坂(三年坂)」の手前(下)に位置することから、「産寧坂の下にある坂=二寧坂」と名付けられたという説です。文字に「寧」の字を当てるのは、「丁寧」「安寧」に通じる縁起の良い文字として親しまれてきた文化的背景があります。
京都市が指定する重要伝統的建造物群保存地区(産寧坂伝統的建造物群保存地区)の公的記録においても、この一帯は大正初期から昭和にかけて形成された美しい町並みが厳格に保護されており、歴史と庶民の信仰が一体となった道筋として受け継がれています。