延命治療とは?人工呼吸器や胃ろうの真実と家族が後悔しない選択基準

延命治療とは?人工呼吸器や胃ろうの真実と家族が後悔しない選択基準

延命治療とは?人工呼吸器や胃ろうの真実と家族が後悔しない選択基準の背景について、専門知識を詳しくお届けします。

「まさか、一度管をつけたら二度と外せないなんて知らなかった……」

終末期患者を抱える家族の手記や取材の場で、最も頻繁に聞かれる痛切な叫びです。大学病院の救急集中治療室で長年勤務する専門医は、その構造的な罠について次のように証言します。

「救急車で運ばれてきた緊迫の現場では、1分1秒を争います。医師から『呼吸が止まりそうです、管を入れますか?』と尋ねられたら、家族は『いいえ、見殺しにしてください』とは言えません。しかし、ひとたび気管挿管を行うと、病状が絶望的になっても人工呼吸器を抜管することは極めて困難になります。法的な壁があるからです」

日本には尊厳死を明文化した法制度が2026年時点でも存在せず、延命治療中止の法的リスクが医師の決断を強く縛っています。過去に起きた「川崎協同病院事件(2002年発覚)」では、気管切開チューブを抜管した主治医が殺人罪に問われ、最高裁で有罪判決(懲役1年6カ月・執行猶予3年)が確定しました。この判例があるため、医師側は「機器を止める行為=殺人罪に問われるリスク」を恐れ、家族が「もう十分苦しんだので機械を外して楽にさせてあげたい」と懇願しても、抜管に同意できない防衛医療の力学が働きます。

また、救急搬送時に頻出する心肺蘇生不要指示DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)についても、深刻な誤解が蔓延しています。DNARとはあくまで「心肺停止に至った際、心臓マッサージや除細動を行わない」という合意であり、現在行われている点滴や酸素投与、抗菌薬治療を拒否する意味ではありません。ところが「DNAR=治療の完全放棄(見捨て)」と誤認する家族が多く、家族の葛藤と後悔しない選択を阻む大きな要因になっています。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。