皮膚に現れた赤いポツポツを前にした際、最初に着目すべきは「発疹の出現部位」「かゆみや痛みの性質」、そして「発熱のパターン」の3点です。病初期にはどちらも小さな紅斑(赤い平らな斑点)から始まりますが、時間の経過とともにその性質は明確に分かれていきます。
まず発疹が出る部位の見分け方において、最大の違いは「体幹(お腹や背中)と頭皮に出ているか否か」です。水疱瘡は、お腹や胸、背中といった胴体部分や髪の毛の生え際・頭皮の中に初発し、そこから顔や手足へと遠心状に全身へ散らばっていきます。一方、手足口病はその病名の通り、手のひら、足の甲や足の裏、口の中(頬の粘膜や舌)、膝、お尻周辺に好発し、体幹部にはほとんど出ないという特徴を持ちます。
次に決定的な差となるのが、かゆみの有無と違いです。水疱瘡の発疹は非常に強い痒みを伴うのが通例で、乳幼児が無意識に掻きむしって皮膚を傷つけ、細菌による二次感染を起こすリスクが常に付きまといます。対照的に、手足口病の発疹そのものは痒みを伴わないか、あってもごく軽微です。その代わり、口の中に生じるアフタ性の水疱・口内炎が激痛を放つため、「唾液を飲み込めずよだれが急増する」「固形物を嫌がって泣き叫ぶ」「冷たい水分しか受け付けない」といった食事行動の急変が観察されます。
さらに、熱の出方と潜伏期間の比較も見極めの確度を高めます。手足口病は潜伏期間が3〜5日程度と短く、発熱は全体の約3割から半数程度にとどまります。熱が出ても37度台後半から38度前後の微熱が1〜2日で速やかに解熱するパターンが一般的です。一方の水疱瘡は、潜伏期間が約2週間(10〜21日)と非常に長く、発疹の出現とほぼ同調して38度以上の高熱が2〜3日続くケースが目立ちます。保育園や周囲で2週間ほど前に水疱瘡の流行があったかどうかのタイムラインを辿ることが、極めて有力な手がかりになります。