1970年代半ば、後継者としての地位を固めつつあった金正日総書記の目に留まったことで、高英姫の運命は激変します。当時、金正日は専属の宴会要員や芸術団員を招いて夜な夜な秘密の宴席を開いており、その中で高英姫は金正日の心を強く捉えました。
金正日の側室・妻としては、すでに長男・金正男(キム・ジョンナム)を産んだ女優出身の成恵琳(ソン・ヘリム)や、金日成主席公認の妻であった金英淑(キム・ヨンスク)が存在していました。しかし、高英姫は控えめで気配りに富んだ性格と洗練された物腰で金正日の絶大な信頼を勝ち取り、1970年代後半には平壌市内の高級邸宅で事実上の同棲生活をスタートさせます。
実質的なファーストレディの座に就いた高英姫は、金正日の私生活を一手に管理するだけでなく、幹部人事や政策の相談相手としても影響力を持つようになり、北朝鮮ロイヤルファミリーの権力構図を根底から塗り替えていきました。