生まれたばかりの新生児に見られるモロー反射は、生涯続くものではありません。赤ちゃんの脳や中枢神経が成熟するにつれて、大脳皮質が発達し、無意識の反射運動を自然とコントロールできるようになるためです。
一般的な月齢ごとの発達段階と推移の目安は以下の通りです。
- 生後0〜1ヶ月(新生児期):反射が最も鮮明に現れる時期。抱き上げようとした瞬間や、わずかな物音に反応して両手をパッと広げます。
- 生後1〜2ヶ月(ピーク時期):感覚器官の発達に伴い刺激に敏感になり、モロー反射のピーク時期を迎えます。ビクッとした驚きから泣き出す頻度が増え、寝かしつけに苦労しやすいタイミングです。
- 生後3〜4ヶ月(減退期):首がすわり始めるこの頃から、大脳の発達によって徐々に動きが穏やかになります。これが典型的なモロー反射の消失時期(4ヶ月前後)の始まりです。
- 生後5〜6ヶ月(消失期):寝返りを打つようになる頃にはほとんど見られなくなります。自分の意思で手を動かす「随意運動」へと完全に移行します。
人間にはモロー反射のほかにも、口に触れたものに吸い付く「吸啜(きゅうてつ)反射」や、手のひらに触れたものを強く握る「把握反射」など、多彩な原始反射の種類が存在します。これらはすべて、赤ちゃんが過酷な外の世界で生き抜くために備わったプログラムであり、成長とともに役目を終えて消えていきます。