かつて膝の大怪我と病気で序二段まで陥落しながら、奇跡の再起を果たして第73代横綱へと上り詰めた照ノ富士春雄。そして、110年ぶりの新入幕優勝という歴史的快挙を成し遂げた尊富士哲也。この二人の怪物を誕生させた背景には、単なる精神論に留まらない師匠の先見の明があった。
「体を大きくするだけでは勝てない。自分の骨格と筋肉の稼働域を正しく理解せよ」。師匠が繰り返すこの教えは、怪我に泣かされてきた自らの現役時代の苦い経験から紡ぎ出されたものだ。医療スタッフとの密接な連携や個別のトレーニングメニューの導入など、力士一人ひとりの適性を見抜く眼力こそが、土俵上での驚異的なパフォーマンスへと結実している。