ニコラシカの最大の秘密は「グラスの中で完結しない」点にある。このカクテルは、飲む人の口の中で完成するライブ感溢れる一杯なのだ。
作法は実にシンプルだが、タイミングがすべてを決める。まず、レモンスライスで砂糖を包み込むように二つ折りにする。そのまま口へ運び、躊躇せずにしっかり噛み締める。口いっぱいに広がる強烈な酸味と、グラニュー糖のジャリッとした力強い甘み。甘酸っぱさのピークが口内を支配した瞬間、グラスに注がれたストレートのブランデーを一気に流し込む。
口の中でレモン果汁、砂糖、そしてブランデーが激しく混ざり合う。芳醇なブドウの香りと樽由来のバニラ香が、レモンの清涼感によって鮮烈に引き立てられ、喉奥へと滑り落ちていく。一口で飲むべきか悩む人も多いが、流し込むのはまさに「一気」。ちびちび飲んでいては、ただ強いブランデーの刺激と砂糖の甘さが分離してしまう。この一連の動作こそが、美味しく味わうための最大の秘訣だ。