この番組の心臓部は、間違いなくメインキャスターの久米宏その人だった。原稿をただ読むのではなく、己の言葉で噛み砕き、時には制作スタッフの意図に反してまで持論を展開した。その姿は、中立公正を金科玉条とする当時のジャーナリズム界に強烈な波紋を呼んだ。
「中立なんて存在しない。自分は一人の市民として感じた疑問を口にしているだけだ」と言わんばかりの態度は、視聴者に爽快感を与える一方で、激しい批判にも晒された。しかし、その危うさこそが番組の推進力だった。原稿ではなくカメラのレンズを凝視し、問いを投げかける彼の語り口は、テレビというメディアが持つ個人の熱量を最大限に引き出していた。