高橋遥人の野球人生は、類まれな才能と過酷な怪我の闘いの連続でした。2017年のドラフト2位で亜細亜大学から入団して以降、その奪三振能力の高さは誰もが認めるところでしたが、左肩や左肘の違和感による離脱が相次ぎました。
決定打となったのは、2022年4月に受けた左肘内側側副靭帯再建術(通称:トミー・ジョン手術)です。さらにリハビリ期間中の2023年6月には、左肩の腱板クリーニング術および胸郭出口症候群の手術を相次いで受けることとなりました。投球側の神経や血管が圧迫される胸郭出口症候群は、腕の痺れや脱力感を引き起こし、多くの投手を苦しめてきた難病です。
なぜこれほどまでに怪我が重なったのか。バイオメカニクス(生体力学)の観点から専門家が指摘するのは、「驚異的な肩関節の柔軟性と、強烈なしなりを生み出す独特の投球フォーム」です。リリースポイントで強烈な遠心力と負荷が肘・肩・神経系に集中するため、並外れた威力のボールが生まれる代償として、身体構造へのダメージが蓄積しやすいメカニズムを抱えていたのです。