都市を襲う大雨の質が変わった。かつての猛烈な台風による長雨とは異なり、近年の気象特性は「短時間・局地集中・超高密度」だ。特に杉並区から中野区にかけての武蔵野台地東縁部は、わずかな地形の起伏が水の流れを急速に集約させる構造になっている。
善福寺川の流域は、ほとんどが密度の高い住宅街だ。地面の大部分がアスファルトや建造物で覆われているため、降った雨が土壌に浸透する間もなく、一気に側溝や下水道へと流れ込む。この「雨水流入のタイムラグのなさ」こそが、都市型水害の最大の恐怖である。川の水位は緩やかに上がるのではなく、エレベーターのように垂直に跳ね上がるのだ。