映画『翔んで埼玉』の大ヒット以降、日本国内における「地域イジり」やステレオタイプの消費はひとつのエンターテインメントとして定着した。関東内部のヒエラルキーをパロディ化した同作は、関西を舞台にした続編でも大きな話題を呼んだ。しかし、こうしたポップカルチャーの喧騒の裏で、実際の地域意識には静かな地殻変動が起きている。
インバウンド需要に沸く観光業の現場では、外国人旅行者が「東京の洗練」と「京都・大阪の熱量」を対比して楽しむ姿が日常となった。彼らの無邪気な視線は、日本人自身が長年抱いてきた「東京=標準、大阪=異端」という硬直した二項対立を解体しつつある。ステレオタイプを自虐的に笑い飛ばしながらも、それぞれの固有の価値を再発見するフェーズへと突入したのだ。