聖地・阪神甲子園球場のベンチで西谷監督が見せる立ち振る舞いには、独特の勝負勘が宿る。一見すると落ち着いた笑みをたたえているが、その眼光はグラウンド上のわずかな風向きや相手投手の指先の動き、守備位置のミリ単位のズレまで見抜いている。勝負どころでの代打起用や継投のタイミングは、長年の経験と膨大なデータ分析が交錯する一瞬の直感だ。
試合の流れが相手に傾きかけたとき、いかにしてチームの呼吸を整えるか。声かけひとつ、間合いの取り方ひとつに極上の駆け引きが存在する。相手ベンチの思惑を先回りし、相手が最も嫌がる攻撃を畳みかける。その容赦ないゲームメイキングこそが、土壇場での逆転劇を生み出す土台となっている。