医学的・細菌学的な視点から見れば、38度から40度前後に保たれたぬるま湯を交換せずに放置することは、病原性微生物にとって絶好の繁殖環境を整える行為に他ならない。特に懸念されるのがレジオネラ属菌の大量繁殖だ。レジオネラ属菌はエアロゾル(細かい霧状の微粒子)となった湯気を吸い込むことで感染し、重篤なレジオネラ肺炎を引き起こす。高齢者や免疫力が低下している人が発症した場合、最悪のケースでは死に至る。
さらに見過ごせないのが破傷風菌のリスクだ。真菰は土壌や水辺で育つ植物であり、その加工プロセスや管理環境によっては、芽胞を形成する破傷風菌などの厭気性菌が存在する可能性を完全に否定できない。傷口がある状態で微細な泥状の成分が残る長期間未換気の湯に入浴すれば、体内へ菌が侵入する感染経路が完成してしまう。自然の力を信じるあまり、基本的な水質衛生を無視することがいかに危険であるかを如実に物語っている。