稗粒腫は、皮膚の極めて浅い層(表皮直下)にケラチンと呼ばれる角質成分が袋状に蓄積して生じる角質嚢腫(かくしつのうしゅ)です。皮脂が詰まって炎症を起こす「白ニキビ」や、汗を分泌する管が増殖してできる「汗管腫(かんかんしゅ)」とは構造が根本的に異なります。
多くの患者が抱く「なぜ目の周りに多発するのか」という疑問に対し、皮膚科専門医の研究や臨床データから主に以下の要因が明らかになっています。
- 皮膚の薄さと摩擦刺激:目の周囲の皮膚は厚さ約0.5ミリメートルと非常に薄く、アイメイクの摩擦、クレンジング時の強い擦り洗い、花粉症やアレルギーによる無意識の掻破(そうは)によって微小な角質嚢胞が形成されやすい。
- ターンオーバーの乱れ:加齢や乾燥、紫外線ダメージによって表皮の新陳代謝が滞り、剥がれ落ちるべき古い角質が毛包漏斗部や汗管の出口に閉じ込められる。
- 外傷・皮膚疾患後の続発:熱傷(やけど)、水疱症、レーザー治療やケミカルピーリング後の皮膚再生過程において、表皮細胞が皮下に迷入して発生する「続発性稗粒腫」。
新生児に見られる稗粒腫は生後数週間で自然脱落することが大半ですが、成人以降に生じる原発性稗粒腫は、自然治癒を期待して放置しても長期間そのまま残存する傾向にあります。