「推奨された市販薬を飲んでいるのに全く症状が治まらない」という不満は、SNSや医療相談サービスで毎年数多く散見される。だが、花粉症薬が効かない理由と真相の多くは、薬剤の力不足ではなく「服薬のタイミング」と「症状の性質」を取り違えている点にある。
第一の誤解は「症状が悪化しきってから飲む」ことだ。抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが受容体に結合するのを先回りしてブロックする予防的性質を持つ。すでに鼻粘膜に重篤な炎症が広がり、神経が過敏になった状態で服用しても、即座に症状を鎮静化させることは構造上難しい。花粉の飛散開始予測日の約1週間前から服用を開始する「初期療法」を実施することで、シーズン中の重症化を有意に防ぐことができる。
第二の誤解は、「内服薬だけで頑固な鼻づまりを解消しようとする」ことだ。鼻づまりの主因は血管拡張による粘膜の肥厚(物理的な腫れ)であり、抗ヒスタミン作用のみでこれを即座に押し戻すのは困難である。ここで圧倒的な力を発揮するのが花粉症点鼻薬の即効性だ。
市販の点鼻薬には大きく分けて2種類が存在する点に留意しなければならない。
- ステロイド点鼻薬(ナザールαAR、フルナーゼ等):局所的に炎症を強力に鎮める。血管収縮剤を含まないため連用可能で、2〜3日の継続使用により鼻づまりを劇的に改善する。全身への副作用は極めて少ない。
- 血管収縮剤配合点鼻薬:吹きかけた直後に鼻が通る即効性を誇るが、長期連用(1〜2週間以上)するとリバウンドを起こし、かえって粘膜が腫れ上がる「薬剤性肥厚性鼻炎」を招く危険性がある。あくまで一時的な頓服として使用すべきである。
さらに、目のかゆみに対しては内服薬の移行を待つよりも、花粉症目薬おすすめ市販製品の併用が基本となる。アゼラスチンやケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウムを主成分とする抗アレルギー点眼薬(ロートアルガード等)を併用することで、内服薬の服用量を増やさずに局所症状を封じ込める多重防御が可能となる。