この記憶の復権は、単なる懐古趣味にとどまらない。地方自治体や都市プランナーたちの間でも、水辺空間を活用したソーシャルスペースづくりの指標として、かつての河川敷酒場のあり方が真剣に議論され始めている。
防潮堤や護岸工事によって街と川が分断されて久しいが、近年は「かわまちづくり」プロジェクトなどを契機に、水辺の利活用を見直す動きが各地で加速している。川のせせらぎを聞きながら素朴なアテをつまむ。そんな風景を現代の防災・景観基準の中でいかに再構築できるか。過去の記憶から学び、新しい公共の居場所を切り拓こうとする挑戦が、全国の水辺で静かに芽吹いている。