成人の標準的な歯の本数は28本(親知らずを除く)ですが、生涯にわたってその本数を維持できている人は決して多くありません。厚生労働省が実施する「歯科疾患実態調査」のデータを紐解くと、加齢とともに歯がどのように失われていくのか、過酷な実態が浮かび上がってきます。
かつては「年を取れば歯が抜けるのは仕方がない」と諦められていましたが、1989年に日本歯科医師会と厚生省(当時)が提唱した「8020(ハチマルニイマル)運動」(80歳で20本以上の自分の歯を残そうという取り組み)以降、日本の歯科事情は劇的に好転しました。8020運動達成率の現在は、調査開始当初の1割未満から大きく躍進し、最新の公表データでは51.6%を記録。実に80歳以上の2人に1人が20本以上の歯を残せる時代に突入しています。
しかし、年代別の詳細を俯瞰すると、50代を境に急激に大人の歯の本数平均が減少に転じるというシビアな現実が確認できます。以下の表は、厚生労働省の調査データをもとに、年代ごとの歯の残存状況と課題を整理したものです。
この年代別の残存歯数一覧が浮き彫りにしているのは、40代までは保たれていた歯列が、50代以降のわずか20〜30年で加速度的に崩壊していくという厳しい現実です。歯を失う二大要因である「歯周病」と「虫歯の再発(二次カリエス)」は、痛みがないまま骨を溶かし、ある日突然抜歯を余儀なくされるケースが後を絶ちません。