「なぜ最近、厚別でコンサドーレの試合が行われないのか」――この問いに対する答えは、ノスタルジーだけでは解決できない極めて現実的な施設基準とインフラ寿命の壁にあります。
厚別公園陸上競技場は、1986年(昭和61年)に完成し、1989年に開催された第44回国民体育大会(はまなす国体)のメイン会場として整備されました。コンサドーレ札幌が1996年に誕生して以来、雨風吹きすさぶ過酷な気候の中でサポーターが声を枯らし、数々の奇跡的な勝利を呼び込んできた舞台です。ピッチと観客席の一体感が生み出す特有の熱気は「厚別不敗神話」という伝説を生み、クラブのアイデンティティそのものとなりました。
しかし、2001年に札幌ドーム(現・大和ハウス プレミストドーム)が開業して以降、メインスタジアムの座を譲り、厚別での開催試合数は徐々に減少していきました。さらに近年に至っては、後述するJリーグの施設基準の厳格化と施設自体の経年劣化が重なり、公式戦を開催するためのハードルが急速に跳ね上がったのが実情です。決してクラブやサポーターが聖地を見捨てたのではなく、「物理的・規約的にプロ公式戦を開催することが極めて難しい水準に達してしまった」というのが冷徹な真相です。