『ウソ婚』が実写化されるにあたり、原作ファンとドラマ視聴者の間で最も議論を呼んだのが、主人公・夏目匠の大胆なキャラクター改変でした。時名きうい氏による原作漫画は、大人の色気と強引さでヒロインを翻弄する「スマートなオラオラ系ドS建築士」として描かれていましたが、ドラマ版ではその根底を覆すアプローチが取られました。
ドラマ版の夏目匠は、八重の前ではカッコをつけて冷淡な態度を取りつつも、ひとたび彼女の見えない場所に移動すると「八重が可愛すぎる」「今の言い方、完璧だったか?」と頭を抱えて悶絶するコミカルな内面が強調されました。この脚色を担当した脚本家・蛭田直美氏の手腕により、視聴者は匠の滑稽でありながら一途すぎる愛に感情移入することになったのです。
さらに、匠の幼少期を演じた三浦綺羅さん、八重の幼少期を演じた宮地美然さん、そして健人の幼少期を演じた石塚陸翔さんら子役陣の卓越した演技力も見逃せません。大人になった現在の行動動機が、すべてこの少年少女時代の記憶と約束に根ざしていることが丁寧に描かれたため、突飛なウソ婚設定にも情緒的な厚みが生まれました。