白ひげ海賊団が血の繋がらない「家族」としての強固な情緒的結束を誇っていたのに対し、黒ひげ海賊団は徹底した利害関係と契約で結ばれた機能的集団です。インペルダウンLV6から解放した凶悪犯たちを船員として束ねる際にも、恐怖や精神論ではなく「利害の一致」を重視するマネジメントが一貫しています。
その極致と言えるのが、クザン加入の真相です。元海軍本部大将という最高戦力がなぜ黒ひげの軍門に降ったのかについては、連載初期から読者コミュニティでも様々な憶測を呼びました。単行本107巻等で描かれた酒場での対話において、ティーチは激昂する幹部たちを制し、自暴自棄になっていたクザンに対して極めてドライな提言を行っています。
「海賊ってのは利害が一致してりゃいいんだよ」というティーチの言葉は、正義を見失ったクザンの心を捉えました。家族ごっこを強要せず、目的のための手段として互いを利用し合うドライな関係性こそが、元大将という巨大な異分子すら飲み込む黒ひげ海賊団の武器です。海軍の潜入捜査組織「SWORD」との関係やクザン自身の真意は未だ多層的であるものの、ティーチの組織統率力が「冷徹なリアリズム」に基づいていることは揺るぎない事実です。