立教大学のアイデンティティを紐解く上で、避けて通れない人物が米国聖公会の宣教師チャニング・ムーア・ウィリアムズ(Channing Moore Williams)主教です。1874(明治7)年、東京・築地の外国人居留地にわずか数人の生徒を集めて開校した私塾「立教学校」がすべての始まりでした。
幕末から明治維新の激動期、多くの知識人が欧米列強に追いつくための「富国強兵」「実学偏重」へと傾倒する中、ウィリアムズ主教が重んじたのは技術の習得以上に「キリスト教に基づく人格教育」でした。彼が残した有名な信条「道を失うなかれ」に象徴されるように、知識を私利私欲のために用いるのではなく、社会の弱者や隣人のために用いる奉仕の精神こそが、現在に至る「立教スピリットの意味と由来」の原点です。
立教大学の校訓であるラテン語の標語「PRO DEO ET PATRIA(神と国のために)」は、国家主義的な意味合いではなく、「真理を愛し、人類社会のために生きる」という普遍的な利他精神を意味します。教員や関係者への取材でも、「この根底にある精神を理解せずして、立教大学の教育本質を語ることはできない」という声が一致して聞かれます。日々のチャペル(礼拝堂)での祈りやパイプオルガンの調べは、この創業の意志を今に伝える生きた証です。