企業の人材育成やOJT研修の現場を取材すると、「守破離」という言葉を掲げながらも、実際には育成機能が麻痺しているケースが散見されます。調査データや現場の指導員・受講者の声から見えてきたリアルな課題を検証します。
大手企業の人事担当者やマネジメント層を対象にした実態ヒアリングでは、次のような生々しい声が寄せられています。
「新入社員に『まずは型を覚えろ』と指導しても、なぜその手順が必要なのか理由を説明しないため、単なる作業の押しつけになり若手がモチベーションを失ってしまう」(ITメガベンチャー・育成責任者)
「自分なりの工夫だと主張して基本手順を無視する若手が増え、結果として大きなトラブルに発展するケースが後を絶たない」(大手製造業・現場マネージャー)
人材育成において守破離を機能させるための指導法(コーチング・ティーチング)には、フェーズに応じた明確な切り替えが不可欠です。「守」の段階では徹底したティーチングで型をインプットし、「破」の段階では『どうすればより良くなると思うか?』と問いかけるコーチングへ移行しなければなりません。指導者がいつまでもマイクロマネジメントを続けて部下を「守」に縛り付けると、自律的な思考を奪う原因となります。