多くの生活者が抱く「なぜ食品のような賞味期限や使用期限がチューブに大きく印字されていないのか」という疑問の根底には、日本の法規制が深く関わっています。現在流通している歯磨き粉の大半は、医薬品医療機器等法(通称:薬機法)における「医薬部外品」または「化粧品」に分類されています。
薬機法第61条(化粧品)および準用される第59条(医薬部外品)の規定により、「適切な保存条件のもとで製造後3年を超えて性状及び品質が安定なもの」については、容器に使用期限を表示する義務が免除されています。つまり、パッケージに使用期限が記載されていない製品は、「製造から未開封の状態で少なくとも3年間は品質が担保されている」という法的証明に他なりません。
逆に言えば、3年以内に変質・分離・有効成分の失活が起こる可能性のある製品にのみ期限表示が義務付けられています。ライオンや花王、サンスターといった国内大手オーラルケアメーカーも、厳しい加速試験(高温多湿などの過酷な条件下で経時変化を測定する安定性試験)をクリアした処方を採用しているため、あえて期限を記載しない形態が業界標準となっています。