言葉の乱れが叫ばれて久しいが、文化庁が定期的に発表する国語に関する世論調査を眺めると、古典的な慣用句が誤用されたり、日常会話から姿を消しつつある現実が浮かび上がる。しかし、言論をリードする出版業界においては、曖昧な感情表現を避け、文脈のニュアンスを精緻に伝える語彙として、こうした言葉が今なお厳選されて使われている。
手垢のついたビジネススラングが氾濫する一方で、歴史的な厚みを持つ慣用表現を的確な場面で操れる人物は、それだけで知的な信頼感を醸し出す。言葉を正しく理解し、過不足なく使い分けるリテラシーそのものが、相手の識見を測る重要なバロメーターとして機能している事実は見逃せない。