映画化の歴史を語るうえで外せないのが、シリーズの金字塔である『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』だ。本作を手掛けた万きゅう監督は、セリフのないキャラクターたちにどう命を吹き込むかという難題に見事な解答を出した。映像のテンポや仕草の細部、そして絵本の世界に入り込むという独創的な展開は、緻密な計算のもとに構築されている。
制作陣が最もこだわったのは、キャラクターそれぞれの「居場所」に対する思いの表現だったという。迷子になったひよこ?との出会いと葛藤、そして切なすぎるクライマックスの演出は、大人世代の胸に深く突き刺さった。言葉に頼らず、絵と演出の力で魅せる職人技こそが、劇場を涙の渦に巻き込んだ最大の仕掛けだ。