沈まぬ太陽の政治家モデル一覧!利根川や黒幕の真相と実話を解剖

沈まぬ太陽の政治家モデル一覧!利根川や黒幕の真相と実話を解剖

沈まぬ太陽の政治家モデル一覧!利根川や黒幕の真相と実話を解剖の注目されている理由を専門的かつ分かりやすくまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。

ネット上の掲示板やSNSでは、「沈まぬ太陽に書かれていることはすべて100%の真実である」「行天四郎は根っからの悪党で、恩地元は聖人君子だった」といった極端な言説が散見されます。しかし、客観的な報道資料と関係者の証言を突き合わせると、いくつかの重要な盲点と誤解が浮き彫りになります。

第一の誤解は、「本作が完全なノンフィクションである」という思い込みです。山崎豊子自身が巻頭に記している通り、本作は膨大な取材に基づく「小説」です。事実関係の骨格は極めて正確ですが、劇的なドラマを生み出すために人物造形には明確なコントラスト(善悪の二項対立)が施されています。

たとえば、行天四郎のモデルとされる幹部社員(松尾芳己氏ら)は、社内では「泥をかぶってストライキの危機を回避し、会社を前に進めた現実派の実力者」と評価する声も少なくありませんでした。高度経済成長期の航空会社において、定時運航を死守し、莫大な赤字を防ぐためには、時に妥協や政治工作を行わざるを得なかったという経営側のリアリズムも存在したのです。

第二の誤解は、「国見正憲(伊藤淳二)元会長の改革がすべて正しかった」という一面的な見方です。伊藤氏はカネボウで労使協調路線を築いた名経営者として鳴り物入りで日航に乗り込みました。しかし、航空業界の特殊性(パイロット、客室乗務員、整備士という高度専門職ごとの異なる利害関係)を十分に掌握しきれず、社内の反発を招いた側面もあります。当時の運輸官僚や日航生え抜き派からすれば、「門外漢の繊維業トップが理想論だけで現場を引っかき回した」という冷淡な受け止め方も根強く存在していました。

山崎豊子の筆致は圧倒的な迫真性を持つがゆえに、読者は「恩地=絶対的正義」「会社幹部・政治家=絶対的悪」という図式に引きずられがちです。しかし、真のジャーナリズム視点に立つならば、「正義感あふれる理想主義者が組織から排除され、現実主義の権力闘争が巨大インフラを破綻へと導いた」という組織の構造的悲劇として捉える必要があります。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。