少子化をめぐる議論では未婚率の上昇ばかりが注目されがちだが、公的データの行間を読み解くと別の真実が見えてくる。厚生労働省の動向調査や国立社会保障・人口問題研究所の意識調査によれば、婚姻関係を結びつつも子どもを持たない選択をする世帯の割合は確実に推移している。偶発的な結果ではなく、明確な意思決定に基づくライフプランの一環だ。
社会学者の上野千鶴子氏は、こうした家族像の変化について長年言及してきた。従来の「標準世帯」モデルが多様化し、個人が主体的に生き方を選び取る社会への移行期において、家族の形態が多角化するのはごく自然な流れと言える。世間の目よりも二人だけの納得感を優先する姿勢が、新しい時代の夫婦のあり方を提示している。