『おかあさんといっしょ』の卒業が発表された際、視聴者の間で真っ先に浮上したのが「なぜ4年という比較的短い期間で交代となったのか」という疑問でした。前任である第11代の小林よしひささんが14年間、第10代の佐藤弘道さんが12年間にわたって在任していたため、4年での卒業はファンにとって衝撃的な早さに映った側面があります。
一部のネットコミュニティでは、在任中の2021年に週刊文春によってスクープされた「一般女性との結婚および双子の男児の誕生」が番組規律に触れ、卒業を早めたのではないかという憶測が飛び交いました。NHKの幼児番組出演者には私生活の規律やイメージ管理が厳しく求められるという通説が存在するためです。
しかし、当時の記者会見や番組関係者への取材データを精査すると、その見立てが誤りであることは明白です。卒業会見において福尾誠さんは、自身の進退について次のように心境を語っていました。
「自分の中で体操のお兄さんとしての役割を十分にやりきったという思いが強く、次の世代へバトンを繋ぐ適切なタイミングだと判断しました」
就任直後の2020年からは世界的なコロナ禍に見舞われ、子どもたちをスタジオに招いて直接触れ合う収録が長期にわたって制限される過酷な状況が続きました。その逆境のなかで画面越しに子どもたちを全力で励まし続け、有観客収録の再開を見届けた瞬間こそが、彼にとって大きな節目となったのです。結婚報道があった2021年から卒業の2023年春まで約2年のタイムラグがある点からも、報道によるペナルティや引責降板ではなく、本人の意思と番組制作側の合意に基づく完全な円満卒業であったと裏付けられます。