結論から言えば、登山経験が浅い初心者が富士山の頂を踏める確率は、およそ50%から60%前後に留まる。山小屋泊を伴う計画的な行程を組んだ場合でも70%前後であり、4人に1人以上が途中でリタイアを選んでいるのが冷厳な現実だ。
この数値の裏付けとなっているのが、登山者向けGPSアプリであるYAMAPやヤマレコに記録された数百万件規模のトラッキングデータだ。軌跡データを分析すると、特に午後遅くに五合目を出発したグループや、休息を挟まず山頂を目指す弾丸登山者の脱落率が跳ね上がる。山梨県が吉田ルートに導入した通行予約制度と通行料徴収、そして夜間通行規制により混雑そのものは緩和されたものの、純粋な体力不足や体調不良による脱落は依然として高水準を維持している。
富士山保全協力金制度の普及によって登山道の整備や救急インフラは格段に向上した。しかし、どれほど登山道が整えられようと、空気の薄さと急峻な岩肌そのものが優しくなるわけではない。