プロジェクト全体のボトルネックとして長年議論の的にあるのが、南アルプストンネルの「静岡工区」である。大井川の水量減少や生態系への影響を懸念する静岡県側と、工事の安全な推進を目指す事業者との間で、慎重な議論が重ねられてきた。
この停滞を打開すべく、国土交通省は専門家による有識者会議を設置し、科学的・技術的な観点から環境影響の検証を進めてきた。地下水の全量戻しや水質モニタリング、トンネル湧水対策に関する論点整理が進み、対話の環境は着実に前進している。環境保全の徹底と国家的なインフラ整備の成立という二つの要請をいかに高次元で両立させるか、行政と関係自治体の手腕が問われている。