不死川兄弟の絆は、常にすれ違いの連続でした。兄の実弥は、弟に危険な鬼殺隊を辞め、どこかで静かに家庭を持って生き延びてほしいと願っていました。そのため、わざと冷たく突き放し、時には罵倒することさえありました。しかし、玄弥はその真意に気づけず、「兄に嫌われている」と思い込んでいたのです。
黒死牟を倒した直後、崩れゆく玄弥の体を抱きしめ、実弥は絶叫します。「神様どうか弟を連れて行かないでくれ」と泣き叫ぶ兄の姿は、これまでの冷酷な態度からは想像もつかないほど泥臭いものでした。そして玄弥もまた、「兄ちゃんが…優しかったから…」と、最期に心からの感謝を伝えて塵となって消えていきました。この瞬間のカタルシスと絶望こそが、本作屈指の涙腺崩壊シーンと言われる所以です。