大学を卒業した金雪松氏は、1990年代後半から朝鮮労働党宣伝扇動部や組織指導部といった党の心臓部に配属され、キャリアを積み重ねました。金正日政権下では、父の身辺警護や日程管理、さらには公式文書の決裁を補佐する「書記室長」に近い役割を果たしていたと分析されています。
特筆すべきは、彼女が北朝鮮のIT・サイバー戦略や対外情報発信の基礎設計に深く関与していたとされる点です。軍や党の通信インフラ整備、対外宣伝工作の高度化を主導し、国家安全保衛部(現・国家保衛省)とも太いパイプを築いたと報じられています。
最高指導者の側近として実務を完璧にこなす能力を持ちながら、自ら権力を誇示することは一切ありませんでした。この徹底した黒子に徹する姿勢こそが、激しい権力闘争が渦巻く平壌中枢で長年生き残り続けた最大の要因といえます。