『雪だるまつくろう』の最大の特徴は、わずか3分余りの楽曲の中で、アナが5歳、9歳、15歳へと成長していく約10年間の歳月の流れを描ききっている点にあります。閉ざされた扉をノックする音、呼びかけるアナの声、そして拒絶するエルサの短いセリフが、痛切なドラマを形成しています。
物語の冒頭、幼いアナ(5歳)は純真無垢な好奇心からエルサの部屋の扉を叩きます。
【幼少期パート(5歳)】
(アナ)「エルサ?(コンコン)雪だるま つくろう ドアを開けて
いっしょに遊ぼう どうして 出てこないの?
前は仲良く してたのに なぜ会えないの?
雪だるま つくろう 大きな雪だるま」
(エルサ)「あっちへ行って、アナ」
(アナ)「……わかったよ」
ふりがなを追うだけでも伝わる幼少期の無邪気な語り口から、数年が経過した子供時代(9歳)では、アナの孤独がより具体化していきます。城の中でひとり遊びに興じ、壁に飾られた絵画の肖像画「ジャンヌ・ダルク」に話しかける描写は、彼女の置かれた閉鎖環境の厳しさを物語っています。
【子供時代パート(9歳)】
(アナ)「(コンコン)雪だるま つくろう 自転車に乗ろう
ずっと一人でいると 壁の絵とおしゃべりしちゃう
『がんばれ ジャンヌ!』
寂しい部屋で 柱時計 見てたりするの(チクタク チクタク……)」
そして物語は急転直下、両親(アレンデール国王夫妻)の海難事故という決定的な悲劇を迎えます。15歳になったアナは、喪服に身を包み、再びエルサの扉の前へと向かいます。
【成長後パート(15歳)】
(アナ)「(コンコン)エルサ? ねえ、ドアを開けて みんな心配してる
『強い力で』って 言い聞かせて そばにいるよ
私たち二人きり これからどうしていくの?
……雪だるま、つくろう?」
冒頭ではあんなに弾んでいた「雪だるまつくろう」というフレーズが、最後には震えるような懇願へと変貌を遂げる構成は、劇作家・作詞家のクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペス夫妻による緻密な劇伴計算の賜物です。