仕組みは極めてシンプル、かつダイナミックだ。音の波形がそのまま盤面のグルーヴ(溝)の凹凸として物理的に彫り込まれている。回転する盤の上にダイヤモンドやサファイアで作られた針を落とすと、針先が溝の壁面にぶつかって物理振動を起こす。その振動をカートリッジ内部のコイルと磁石で微小な電気信号に変え、アンプで増幅してスピーカーを震わせる。これが基本構造だ。
一方のデジタル音源(CDやPCM、AACなど)は、連続した音の波を1秒間に何万回という単位で細切れ(サンプリング)にし、数値化して記録する。アナログが音の「影絵」をそのまま型取る彫刻だとすれば、デジタルは細かなモザイク画だ。理論上のデータ精度は現代のハイレゾ音源が圧倒的だが、解像度や数値のスペックでは割り切れない「空気感」がアナログ盤には確かに存在する。